ご自身を理解し、新たな一歩を踏み出したBさん

30代後半の女性Bさんの主訴は、仕事では頑張っているものの、夫や親族との関係が上手く行かないことでした。

Bさんは自分自身のあり方に問題があるのかもと思い、カウンセリングを受けに当研究所を訪れました。

事務職のBさんは、手早くて間違いが少ないので職場の信頼は高いようでしたが、私の前の彼女は常に緊張し、くつろげない印象がありました。
さらに仕事も家事も手を抜かない主義というBさんを、私は人に頼ることが苦手な人かなと考えました。

面接が始まりしばらく経ったとき「人に思い切ったことを言いづらい。ちょっとでも言い過ぎたと思うと、どうしようってひどくさいなまれる」と語るBさんに、「それなら私にも未だに本心を伝えにくいのですね」と返すと、「そうですね‥。どこまで話そうかとか、こんなこと言ったら嫌がられないかとか、心配しながら話してますね」と苦笑しました。

ある時私が、「あなたの躊躇は、まるで舟に乗ろうとしてもその舟が引っくり返らないか、ヒビがあって沈没しないかと怖がっているのと同じみたいですね」と言うと、「誰に対してもそう‥。夫に対してもそうかも。自分の全てを預けるなんて危険過ぎると思ってる‥」とBさん。
やがて彼女は小さい時から母親や祖母の機嫌を損ねないようにとビクビクしていたことを思い出し、そして、「家族が和やかでいられるようにと、子供心にすごく気を遣っていた自分」を振り返るようになりました。

そうした怯えや躊躇、必要以上の気遣いなどについて私と一緒に考えるうちに、Bさんは随分とくつろぎ、どんどん話すようになりました。
そして、「ここで色々話すうちに、自分で背負い込み過ぎては相手が悪いんだ、人のせいで自分はしんどくなるんだと周りを恨んでいたなあって。自分で自分を追い込んでいたんですよね」。
「自分を全部預けられるって何て楽なんでしょう、私って甘え足りなかったんです、きっと」と語り、しばらく後にカウンセリングは終結しました。

 

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