「うつ」について

 近年、世の中に「うつ」という言葉が頻繁に登場します。しかしこの「うつ」とは、広くは落ち込んだ状態のことを表しており、必ずしも病名を指しているとは限りません。そういう意味では、だれでも「うつ」になることがあります。つまり「ああ、私の人生はなんて憂鬱なんだ」といった少しうつっぽい状態から、心療内科や精神科で「うつ病」と診断されるものまで、幅ひろいスペクトル(連なり)があると言えるでしょう。

 私たちは、例えば、失恋した時や可愛がっていたペットと死別した時、子供が巣立った時、あるいは住み慣れた土地から見知らぬ土地に転居した時などに、何か大事なものを失った感覚、つまり、喪失の痛みや悲しみに襲われます。そういった状況は「反応性のうつ」という風に呼ばれることが多いですが、なかなかそこから抜け出せない人もあります。もちろん、そうではない別の理由や状況で「うつ(落ち込み)」に襲われることも多くあります。

 いずれにせよ、1人で落ち込むと、何が起こっているのか分からないまま、負のスパイラルにハマっていくことがあるので、そういった場合は、心療内科・精神科の受診やカウンセリングを受けることを視野に入れ、早めに動かれることをお勧めします。

なお、うつのときは、心が折れそうなのに自分を責めてしまうので、そのままを受け止め、それ以上頑張れとは言わないことが大切です。息切れして足がガクガクの時に「もっと走れ!」と言われるようなものですから。