「パニック障害」について

パニック障害で悩む人は多く、特に初めてパニック発作を発症したときは、本人も周囲も何が起こったのかと驚きます。

具体的な症状は、急な不安から突然おこってくるドキドキや息切れ、呼吸の乱れ、冷や汗、さむけなどです。過呼吸症候群と呼ばれるパニック発作はこの代表的なものです。酸素の出し入れがみだれてうまく呼吸ができなくなるため、はじめて過呼吸発作を起こした人が救急車を呼ぶことも少なくありません。実際にはしばらくおだやかにして呼吸を整えていると治まるので、病院に着いた頃には何ごとも無かったかに見えることが多いですが、本人の恐怖心が増さって来ると、いつ出るかわからないこわさから、バスや電車に乗れなくなる人もいます。

この症状は、かつての精神医学の診断では「不安神経症」と呼ばれていたものです。

強い不安(病的不安)があって自律神経系の神経システムに影響がでて発生するもので、「不安神経症」という呼び方はこの病気をとても分かりやすく表していると思います。でも最近は単純に症状を治すだけをめざし、そして中枢神経系に効くくすりの開発が進んだこともあって、不安からきているのだという理解の治療よりも、パニック現象を改善することが優先され、この呼び方が使われなくなりました。

でも、私は、パニック障害を持つ方の多くがこころの課題、つまり自分だけではかかえにくい不安を持っておられることを見てきました。つまりパニック障害の症状がある一方で、対人関係の難しさ、ときどき感じる大きな不安、感情のゆれ、などをいろいろ抱えている人たちが多いのです。

長年、抗不安薬を飲み続けている人にもよく出会いますが、こうした方は、パニック発作を薬でおさえることは必要でしょうが、「この不安こそ何とかしたい」「なんでこうなん?」といったことを、カウンセラーと共にあゆむ作業が、意外と近道になることもあるのです。