まちかど

わたしたち心理職の人間は街で親子づれを見ると、ついついながめてしまう習性があります。親子のやりとりに心が温かくなってつい一人で微笑んでしまったり、逆の場面だと悲しくなったりもします。  最近気づいたことがひとつ。

最近、おとうさんやおかあさんが前を歩き、ちょっと離れた後ろをまだ2歳前後の上の子らしい子が歩いている場面をとてもよく見かけるのです。おとうさんの場合はからだが大きいので、つい足が進んでしまうのかもしれない。おかあさんは下の子をだっこしながら荷物を持ってあるくだけで精一杯なのかもしれない。

だけど人間は後ろに目が付いていません。もしそのままだと、気がついたら後ろで子どもがころんだり、あるいは急に出てきた自転車にぶつかったりしてしまうかもしれません。老婆心ですが、横並びで歩くとか、手をつないだりしてもらえたら、私たちも安心して微笑んでいられるのになあと思うのです。でも急いでいるとき、そうはやってられないですね。そういうときには、「今おかあさん手がいっぱいだから、ここしっかりつかんでて」とバッグやスカートのはしをにぎらせたり、先に進んだお父さんならちょっと振り返って「ほらお父さんのところに追いついてごらん」と声かけするなどして欲しいのです。

親と子のきずなあふれる姿は、周りの気持ちを明るくさせます。また声を掛けてもらった子どもの方には、お母さんやお父さんとのつながりが実感できるでしょう。そうした小さな心づかいや安心感の積み重ねが、一人一人の子どもの自己肯定感を高めていくことにつながるように思われます。