「摂食障害」について

今回は摂食障害についてお伝えします。
摂食障害の人たちは、過食や拒食にまつわる「食の異常行動や認知のゆがみ」が特徴で、じぶんが一般の平均よりずっと痩せていても、けっして痩せているとは思っていません。むしろ、もっと痩せたいと思い、暑い日でもきびしくランニングをする、あるいは食べすぎると下剤を飲むなどといった努力が見られたりします。
摂食障害の人たちはたいてい頑張り屋さんなので、成績優秀な人が多いです。また何かの試験にのぞむと高得点をマークしたり上位ランクに入ったりするので、おもてむきはステキに見えます。
でも彼女たちの生き方にはたいへんな無理があるのです。何でも完ぺきでないと気が済まないし、常に周りや社会からの高い評価を求め努力しないではいられない。

社会的成功に努力はつきものでしょう?とか、日々努力を重ねることは褒められることだし、なんで問題のように言われないといけないのか?と思う方も、おられるでしょう。

でも摂食障害の人たちの努力の仕方は、あまりにも不自然で痛々しすぎます。言ってみれば、じぶんを甘やかさないことに満足感を感じるので、苦しい状態にじぶんを追い込まないと気が済まない人たち、とも言えるでしょう。

過食の場合は、むりやり食後に吐くか下剤で流すので、食べたほどには太らないし、一定の「成功」が保たれます。吐くのも下剤を使うのもそれはそれで苦しい行為なのですが、自己満足は得られるのです。下剤使用や嘔吐をやらないばあいは、太っていくばかりなので、衝動食いしてしまうじぶんは何てどうしようもないダメな人間だろうなど、じぶんが嫌になり無気力になったりもするようです。

治療法としては、よく認知行動療法が勧められます。早く効果が出るため人気ですが、元に戻ってしまうことが多いとも言われます。
精神分析的心理療法は、その人の考え方、生き方、対人関係のあり方などが、じわっと内側から変わっていくことをめざすので、すぐには症状改善がみられなくても、いつのまにか食や体重にこだわらなくなっていったり、気づくと極端な拒食やはげしい過食が減っていたりするのです。