人前でなにか行動するときに極度の緊張や不安を感じるという方は、もしかすると対人恐怖症かもしれません。人前で話すとき・文字を書くとき、学校や会社などグループのなかにいるときなどに多くみられます。今回はそういった対人恐怖症の改善方法をご紹介していきましょう。
対人恐怖症の改善策(医師や臨床心理士の助けを借りる)
人とのかかわりのなかで極度な不安や緊張などを感じるという対人恐怖症は、早期に専門家の手を借りることで症状を改善できます。とはいえ性格や能力のせいだと勘違いをして、なかなか医療機関へ相談できない人が多いのも事実です。日常生活に支障が出る前に、早期受診・早期治療を行うのが症状の改善のために一番大切なことでしょう。
薬物療法
薬を服用すると比較的早期に症状を改善できます。一般的にはうつ病の治療にも使われている、SSRIと呼ばれる選択的セロトニン再取り込み阻害薬がよく出されます。緊張や不安を感じやすい場面で、それらを和らげる効果が期待できるのです。
そのほかにも抗不安薬を使用することで、緊張や不安を軽減できます。これらは対人恐怖症を起こしてしまう特定の状況が予測されたときにのみ、頓服という形で限定的に使用もできます。さらにβ遮断薬という薬を使用すると、対人恐怖症で起こる身体の症状を改善できるのです。たとえばふるえや発汗、動悸などの症状があります。
薬を使った改善方法で注意すべき点としては、症状がなくなったからといって勝手に服用をやめないことです。再発した際に症状がより重くなってしまう可能性があるため、医師の指示をしっかりと守りましょう。
心理療法
薬物療法と組み合わせて行われているのが、認知行動療法や精神分析的心理療法などの心理療法です。長年培ってきた考え方のくせや偏りが、カウンセリングによって修正されていくという治療です。
対人恐怖症の改善策(自分で取り組めること)
もしかしたら私も対人恐怖症かもと感じている人や、なんとなく不安を感じる気がするという人もいるでしょう。その場合は自分で取り組める改善法にチャレンジしてみませんか。緊張する・不安を感じるという場面にこれらを取り入れることで、症状を軽減できる可能性があります。
呼吸法に注目してみよう
対人恐怖症や極度の緊張が起きるシーンでは、呼吸法に注目してみましょう。腹式呼吸でゆっくりと呼吸を行えるように集中してみてください。そのとき吸う息よりも、吐く息を長くするのがポイントです。呼吸と同時に一度体全体に力を入れてから、ゆっくりと脱力してみましょう。
リラックスできるツボを刺激しよう
緊張や不安を感じる場面では、気持ちを整えるための合谷というツボを押しましょう。合谷のツボは親指と人差し指の付け根の間にあります。また手首の内側から5cmほどひじ側にいったところの、真ん中にある内関というツボも効果が期待できます。
このツボには不安を沈めたり胸を落ち着かせたりという働きがあるのです。どちらもさりげなく触れられる場所にあるため、人前でも気軽に行えるのがうれしいポイントでしょう。
アロマテラピーを取り入れよう
アロマテラピーで使用されている精油の香りには、リラックス効果が期待できるものが数多くあります。抗不安作用があるローズの香り、ストレスや緊張を沈める作用があるオレンジスイートなどです。また精神疲労を改善するレモングラス、リラックス効果が期待できるフランキンセンス、鎮静作用のあるラベンダーなどがあります。
これらの精油を数滴だけハンカチにたらして、お守りのように持ち歩くのがおすすめです。不安や緊張を感じる場面の前にさりげなくそれらの香りをかいだり、お部屋にアロマデフューザーを使って取り入れたりするのもよいでしょう。
周りの人ができることは?
もし家族や友人・パートナーなど大切な人が対人恐怖症になってしまった場合には、どういったことを心がけるのがよいのでしょうか。まずは本人の不安や苦しみにしっかりと耳を傾けることが大切です。
決して「気にしすぎだよ」などと声をかけてはいけません。本人の気持ちが落ち着いてきたころに、医師や臨床心理士のもとへ相談にいくことをうながしましょう。対人恐怖症への理解を深めるためにも、できれば付き添って一緒に説明を受けるのがおすすめです。
まとめ
今回は対人恐怖症の改善方法についてご紹介しました。緊張や不安を感じる場面で、これらの自分でできる改善方法を取り入れてみてください。もしも効果が得られない・不安感が強いといった場合には、迷わず医師や臨床心理士へ相談しましょう。早めに治療を開始すればするだけ、症状を改善しやすくなるでしょう。
京都市にあります「京都心理臨床研究所」では、40年以上の臨床経験をもつ臨床心理士によるカウンセリングを行っております。精神分析的心理療法を中心とした心理面接を行うことで、対人恐怖症や緊張の改善のサポートをいたします。ぜひとも一度お気軽にご相談ください。