社交不安障害で人との関わりが苦手に?正しい知識を身につけよう

人前で何かをするときに緊張するのは、ある程度自然なことのように思えます。しかし、極度の緊張や不安から人との関わり合いうまくできないという方は、社交不安障害かもしれません。今回は、社交不安障害についてその症状や原因について詳しく解説しましょう。

社交不安障害について知ろう

ほかの人の前だと極度の緊張や不安を感じて、人との関わりがうまくできないと悩んでいる方は、社交不安障害である可能性があります。もともとの性格のせいだと思われている方が多く、放置されやすいという現状があります。

 

ここでは、社交不安障害についてしっかりと解説しますので、適切な対処のための参考にしてみてください。

 

社交不安障害って何?

ほかの人の前で、何か恥をかいてしまったらどうしようという不安や心配を強く感じてしまう病気を社交不安障害といいます。SADや社会不安障害と呼ばれることもあり、昔は赤面恐怖症や対人恐怖症と呼ばれていました。人前に出るということに大きな不安と苦痛を感じることから、人との関わりが強いられるような日常生活を避けるようになってしまう場合があります。

 

発症期としては、学童期や思春期のような若い世代で発症することも少なくないのですが、適切な対処をせずにそのまま大人になってしまったというケースも多くみられます。社会人になって仕事に支障をきたしたり、異性との交流がうまくできなかったりと悩んでしまうことも少なくありません。対処が遅くなればうつ病やアルコール依存症などを合併してしまうというリスクもあるため、早めに対処をすることが肝心です。

 

原因は?

このような社交不安障害は、性格や能力の問題というわけではありません。複数の要因が原因になっているといわれており、詳しい原因については今も研究が進められているところです。たとえば、原因の1つと考えられているのは、赤ちゃんの時の気質でしょう。行動抑制という気質が、青年になっても継続することで社交不安障害の原因になっている可能性があげられています。

 

また、脳の中で、危険を察知する働きがある扁桃体と呼ばれる部分が過剰に反応することで、前頭葉がうまく機能しないという原因も考えられています。そのほかにも、脳内神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンのバランスが崩れることで、不安を感じやすくなっていることや、家庭環境や過去の経験がトラウマになって発症するというケースもあるでしょう。

社交不安障害にはどういった症状があるの?

社交不安障害には、どのような症状があるのでしょうか。

 

社交不安障害は大きく2つに分けられます。1つめは、誰かの目の前で話したり、文字を書いたり、食事をしたりという際に出る症状です。2つめは、それらの症状が積み重なることによって大きな恐怖心となってしまうことが原因になっている症状です。これらの症状に日頃から悩まされているという場合には、一度専門機関に相談をしてみるのがおすすめでしょう。

 

誰かの前で行動をすることで緊張する

あがり症として思い浮かぶ例としてよく出されるのが、朝礼やプレゼンテーションのような大勢の前で話したり発表したりするという場面です。

 

もちろん、大勢の前で話す際に緊張することがあるというのは正常なことです。しかし頭が真っ白になってしまい声が出なくなる、手足や体・声が震えて支障がでる、冷や汗をかく、口が異常にかわく、動悸がして息が苦しくなる、腹痛や吐き気が起こるという症状はどうでしょうか。

 

これらは、発表やプレゼンという場面だけでなく、人目に触れる場所で会食をしたり、電話の対応をしたり、文字を書いたりする場所でもみられるでしょう。とくに美容室に行く際や、デートや合コンなどの異性との交流時にも苦手意識を感じる方が多くいらっしゃいます。

 

これらの症状が原因で起こること

上記のように、不安や緊張の症状を経験していくうちに、その状況を回避するために社会活動に影響が出てくる可能性があります。たとえば目立つことを極端に避ける、電話に出ない、人の集まる会食を避ける、仕事や学校にいけなくなる、うつやパニック症を併発する、自殺を考えてしまうなどがあげられます。

 

人との関わりが難しい

社交不安障害は、人との関わりが難しくなってしまうという大きな問題があります。親密な関係でない人に対して、自分の意見を言えない、頼まれごとを断れないため、自分自身を消耗し疲れ果ててしまうことから、最終的に仕事や学校にいけなくなってしまうのです。

 

こういった場合には、コンビニの店員と客のような一度きりの人との関わりよりも、同級生や同僚などの比較的長期間続くような人との関わりで症状が酷くなるという傾向があります。

まとめ

今回は、社交不安障害の症状や原因についてご紹介しました。性格や能力のせいにしてしまうことで発見が遅れてしまうと、さらに対処に時間がかかり、より改善が困難になってしまいます。思いあたる症状がある方は、1人で抱え込まずに専門家に早めに相談しましょう。

 

京都市にあります「京都心理臨床研究所」では、日本臨床心理資格認定協会認定の臨床心理士によるカウンセリングを実施しています。日本臨床心理士養成大学院で、臨床心理士を目指す大学院生の育成に長年携わってきた経験を持つ臨床心理士が、心理カウンセリング(心理療法)やお悩み相談をうけたまわっております。ひとまず症状を聞かせていただくだけでも構いませんので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。